知人から頼まれて「発達障害を支える技術」という同人誌に原稿を書く事になりました。タイトルは「無くさない技術(仮)」。順調に執筆が進めば、2019年9月22日に池袋で開催される技術書典7で発売されるはずです。
一度にまとめて書こうとすると締切(9月10日)までに上がらない可能性があるので、少しずつ書いてブログに公開し、みんなの意見を聞きながらブラッシュアップしていく予定です。
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いよいよ僕が編み出した「無くさない技術」を披露して行こうと思います。しかし、ここで問題が発生します。どんなライフハックもそれをきちんと実行できなければ意味がないのです。
この同人誌を読んでいるという事は、今まであなたは様々な人生における苦難に直面し、幾多のライフハックにチャレンジした経験があるはずです。そして劇的な成果をあげる事はできなかったのだと思います(成果があがっていたらこの本を読んでいないはずです)。
そこでまず「無くさない」ためのライフハックを紹介する前に、「無くしても大丈夫」な状態を作り出す秘技をみなさんに伝えたいと思います。いうなれば「無くしても大丈夫」なように予めセーフティーネットをはっておこう、という事です。ここでは主に「物」を無くしても大丈夫なようにするテクニックを紹介します。
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そもそもなぜ「物を無くす」と困るのでしょうか?
1:本来使える(役に立つ)はずだったものが、使えなくなってしまうから
2:手元から逃亡した物が、よそで「悪さ」をするから
3:二度と手に入らない情報が一緒になっているから
1は説明しないでも分かりますね? 問題は2と3です。どんなものが2に含まれるかというと、鍵や実印などです。3は手帳やメモリカード、書類、思い出のグッズなどが挙げられます。
2は無くすと自分が困るだけでなく、誰かに悪用されてしまう可能性があります。ですので、できるだけ無くさないようにするしかありません。よって、この章の対象外とさせていただきます。でも2に該当する物は、それほど多くないとはずです。
3は物よりも、それに付随する情報が大事なケースです。これは別の章で対策法を伝授します。
さて、本題の1ですが、世の中に存在するほとんどの物は、この1に該当すると思います。そして1は、そのほとんどが再入手可能な大量生産品という特徴があります。ボールペン、スマホ、服、カバン、自転車、車など、普段使うほとんどの物を私達は「お店」で買ってきています。つまりお金を払って入手しているのです。逆に言えば、お金さえ払えばまた手に入れる事ができるのです。だったら無くしても大丈夫なように、予め沢山買っておけば良いだけの話です。
しかし、ここにちょっとしたコツが要ります。
例えばスマホの充電器やケーブル。とても無くしやすいですよね? 実際僕はしょっちゅう無くします。そして無くす度に買い直していました。でもこの方式だと、生きている限り、充電器やケーブルを無限に買い続けなくてはいけません。さすがにそれはちょっともったいないです。
では、どんな時に無くなるのか内省して考えてみたところ、外に持ち出して使うと無くなるという結論に達しました。つまり使った「ついで」に、どこかに置き忘れてしまう訳です、不思議ですね?(笑)
反対に、毎日使っているのに無くならない物があります。それは「洗濯機」や「冷蔵庫」や「ベッド」です。これらに共通するのは「使っても置き場所が変わらない」という事です。どんなに使っても、いつも必ずそこに置いてあり動かさないなら、物は無くならないのです。当たり前ですが、しかしこれは重要な概念です。しっかりおさえておきましょう。
失せ物の法則①「物は動かすと無くなる」
そこで出来るだけ物を動かさない方法を考える事になります。
でもスマホの充電器やケーブルだと外出先で必要になる事も多いので、できるだけ毎日カバンに入れて持ち運びたいです。現代日本において、財布が無くてもなんとかなりますが、スマホが使え無ければ即死という人は多いと思います。困りますね。
そこでオススメしたいのが、充電器やケーブルを沢山買って、自分が行動する可能性のある場所に予め配置しておく、というライフハックです。自宅に、勤務先に、学校に。いきつけのカフェやジムに。もちろん交際相手の家にも。
僕は生活拠点が6ヵ所あり、仕事の常駐先も2ヵ所、それに加えて車の中と普段持ち運ぶリュックの中の計10ヵ所にスマホの充電器とケーブルを置いてあります。
無くさない技術①「すべての拠点に必要な物を配置し、そこから動かさない」
スマホの充電器やケーブルは100均で売っています。沢山買ってもたかがしれています。行きつけのカフェには「他の人も自由に使っていいから」といって寄付して、無理やり置かせてもらいましょう。
行き先すべてに充電器とケーブルが置いてあれば、あなたのカバンの中に入っている充電器とケーブルの出番はグッと少なくなるはずです。できるだけ使う事無く、カバンの奥底に非常用としてしまっておきましょう。カバンの中にしまいっぱなしで使わなければ、さすがに簡単には無くなりません(たまに無くなる)。
そして万が一、カバンの中に入っているはずの充電器とケーブルが神隠しに遭っても、最寄りの拠点に行けば充電ができるのです。安心ですね。
同じようにボールペンもハンカチも100均で買って各所に配置しておきましょう。絶対どこかに置いてある、という安心感は何者にも勝ります。
さて、ここでもう1つ重要な概念が登場しました。それは100均を最大限に活用する、という事です。物を沢山買って各所に配置しておく事を可能にする為には、1つ1つの物を安価に調達する必要があります。
そしてもう1つ大事なのは、非常用に使うものを100均で調達するのではなく、普段から使うものも含めてすべて100均で調達するという事です。何かあった時に我慢して100均の物を使うハメになると、物を無くした時にストレスがたまります。そうではなくて、普段から100均の物を使い、無くなったらまた買えばいいや、と思うようにすれば、ストレスがたまりません。
おまけに100均は日本のアチコチにあり、グッズの入手は比較的容易です。お金がある人は高級品を使っても良いと考えてしまいがちですが、この入手性がグッと下がります。やめましょう。せめてコンビニや街の大型店で入手可能なものにすべきです。
また高価なものやブランド品などを買って長く大切に使った方が良い、使い捨てはもったいない、という事を主張する人もいますが、簡単には同意できません。
あなたの身の周りにある物で、家や家具や宝石、工具などを除き10年以上使っている物が、一体どれぐらいあるでしょうか? あなたの身の周りにある物で、お金で買えないものや世界に1つしかない物が、一体どれぐらいあるでしょうか? そう考えると、ほとんどの物が大量生産の工業品だと思います。例えそれが何十万円もするエルメスのバッグだったとしても、です。
その事に気づきさえすれば、安い物を大量に調達し、どんどん無くしても構わない安心安全な環境を作るのは、それほど悪い事ではないと思うのです。
無くさない技術②「物はいつか無くなる、もしくは使わなくなるので、できるだけ100均で調達する」
ちなみに僕は普段自分の運営するシェアハウスに住んでいるのですが、自室の他に住人の共同スペースであるリビングにも充電器とケーブル一式置いてあります。ノートパソコンの充電器もメインの自宅1ヵ所とメインの仕事先1ヵ所、カバンの中に1つ入れてあります。パソコンの充電器は高いので流石にホイホイとは買えず、ちょっと困っています。