「ルールが無い」というルールを作り共有する

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この間知り合いになった人から「最近うちのシェアハウスに、意識の高い人が入って来たので困っている」という話を聞いて「それ分かるわ〜!」となった。

どういう事かというと、その人の住んでいるシェアハウスは多少雑然としているのだけど、それは、みんなが許容できる雑然さと、掃除や片付けの手間のバランスが取れた状態での雑然なのであって、ただ適当に散らかっているのとは違う「調和の取れた雑然」が維持されている状態になっていたのだそうな。

ところが新しく入って来た意識の高い人(以下、意識高さんと呼びます)は、家はもっと片付けるべき、綺麗にピカピカにすべき、という感じの人で、そのために掃除当番やルールを作りたがる人だったのです。

これはそれまで長い時間をかけて作られてきた「調和の取れた雑然」を乱す行為なのですが、意識高さんは既存住人の面々が堕落していると感じてしまい、その状態を受け入れがたいのです。事実、堕落はしているのですが、それは「生活の知恵」とでもいうべき堕落なのに、それが分からないんですよね。

ホテルのように綺麗な部屋は、ほぼみんな歓迎だと思うのだけど、シェアハウスの場合は基本的には自分たちで掃除や片付けをしないといけない。そのために毎日何十分も時間を使うのだとしたら、本末転倒だと思うのです。掃除業者を入れているシェアハウスもあるけれど、それは確実に居住コストに反映されるし。

そして「調和の取れた雑然」は明文化したりルール化されたりする事は、まずありません。なぜならば一緒に住んでいる事そのものが、ルールを作り共有するという行為だから。後から入ってきた人は、それが分かりにくいから、お互いにちょっとした配慮が必要なのだけど、そこが上手く行かなかったのかな〜と。

こういう場合は「きれいに片付けたいのは意識高さんの個人的主張なので、どうぞ好きなだけ片付けて下さい。ただし、他人にそれを押し付けないでね」というのが正しい解決策なのだと思う。もちろん、放っておけば、どんどん物が増え汚れ散らかっていくので、どこかでそれをリセットするために大掃除をしたり、ルールを改定したりする必要はあるのだけれど。

僕は4軒シェアハウスを運営していて、作っているルールは、

・性善説
・我慢しないで思った事は言う
・禁煙
・ゴミ出しの当番

ぐらいで、それ以外は基本的には住んでいる人の自主性(という名の曖昧な状態)に任せてあります。

面白いもので、ほぼ何も決めないでスタートしているにもかかわらず、家ごとに違ったルールが芽生え育ち共有されていきます。住む人によって心地よく感じるルールが違うので、押し付けない方が逆にいいんですよね。まぁこの辺は、複数の物件を運営してみて初めて分かった醍醐味でもあるし、新しく入ってきた人が戸惑わないようなルール作りをするのが、運営者としての役目なのかなと。

ただ、住む人も増えてきて短期滞在の人も多くなってきたので、そろそろ簡単なルールブックでも作ろうかなぁと。あと、うちのシェアハウスではお掃除歓迎ですので、そこのところお間違えなく。

写真は MeetTheWorld池袋 の冷蔵庫。泊まりに来た誰かがメッセージを書いたら、どんどんメッセージが増えて収集がつかなくなってそのまま放置してあります。

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