池袋の死亡事故が起きる1時間半前、僕は現場付近を歩いていた

4月19日の昼頃、東京・東池袋で87歳の男性が運転する車が通行人を次々とはね、31歳の母親と3歳の娘さんが亡くなった痛ましい事故。

僕は、その1時間半前に、現場の近くを歩いていた。なぜならそこは、僕の通勤路だからだ。

池袋の死亡事故現場
池袋の死亡事故現場

僕が通勤に使う都電荒川線(東京さくらトラム)の東池袋4丁目駅は、事故現場の交差点から100メートル強、わずか信号1つ分の距離にある。僕は家も仕事先も複数あり、毎日ここを通る訳ではないが比較的よく使うルートで、事故が起きた交差点にある「カレーハウスCoCo壱番屋 東京メトロ東池袋駅前店」は、仕事帰りに時折立ち寄る店だった。

当日は午前10時45分頃、東池袋4丁目駅を出て護国寺の仕事先に11時頃到着した。事故が起きたのは12時25分頃だ。なんだか沢山ヘリコプターが飛んでるよ、と仕事仲間がつぶやき、その後にどうも交通事故らしいよ、と伝わって来た。たかが交通事故に(マスコミの)ヘリが何台も出動するとは大げさだなと思ったのだが、まさか10人が死傷する大事故だったなんて思いもしなかった。しかも、自分の通勤路で。

仕事を終え池袋のシェアハウスに帰ってリビングで夜のニュース番組をチェックしていたら、メンバー(住人)のみんなも食い入るように画面を見つめた。自分の住むシェアハウスからわずか3kmの地点で起きた衝撃的な事故。例のカレー屋の前に設置してあった防犯カメラが、暴走する車の様子をハッキリととらえていた。

そして翌日、ニュース番組のディレクターとしてこの事故を取材する事になった。足掛け25年の業界生活で、自分の通勤路で起きた事故を取材するのは、たぶん初めての出来事だ。見慣れた場所を取材するなんて事は、そうそうあるものではない。事件や事故を取材していると必ずといっていいほど「こんな場所が事件/事故の現場になるなんて」という声を聞くのだが、見通しの良い真っ直ぐな道路でなぜこんな大事故が起きたのか、本当に不思議な気がした。

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日本には現在8000万台もの車が走っていて年間40万件も事故が起きている。死亡・重傷事故は3.5万件、死者は3500人だ。

自動車メーカーの人にはいつも言いたいのだけど、今回のような事故が起きないような車を作るのは、本当はとても簡単なのだ。

そもそも一般道を走って良い速度は(基本的に)60km、またはそれ以下なのだから、一般道を走る時は60kmまでしか出ないような車にすれば良いのだ。例えば、普段は60kmまでしか速度が出ないようにし、「高速道路ボタン」を押した時だけ60km以上出るような車にすれば良いのだ。今回の事故で暴走した車は100km近い速度が出ていた可能性があるという事だけれど、仮に暴走したとして、60kmしか出ていなかったら、また違った結果になったかもしれないと僕は思う。

今回車を運転していた男性にしても、事故を起こそうと思って運転していた訳ではないだろう。間違った運転をしようと思っても出来ない車を作るべきではないだろうか?

あるいは、そういうセーフティー装置が付いていない車には、初心者マークのように「危険マーク」や「ドクロマーク」を貼って走行しなければいけないというルールにすべきではないだろうか?

車はとても便利で無くては困るものだけれど、ただそれだけの理由で毎年何千人もの命が奪われて良い訳がない、と僕は思う。自動車メーカーは「安全性能を追求しました」なんて言っていないで、すぐにでも人が死なない車を作って欲しいし、自分たちが作った製品(商品)で毎年沢山の人が死んでいるのだ、という事をもっと自覚して欲しい。

比較するのは少しかわいそうな気がするけれど、飛行機や電車では毎年何千人も人が死んだりはしない。僕たちは自動車事故で人が死ぬ事に、なんだかとても慣れすぎてしまっている気がする。