ちょっと派手目な見出しをつけてしまいましたが、ビジネスパーソンで「うちの会社は遅れてる。AIツールを導入して、急いで業務改善をしなければ!」と考えている人も多いと思います。
でもそれは、もう時代遅れ(かもしれない)。
現在のAI導入の最前線では「AIがAIを働かせる」という現象がおきています。人間がAIに指示をだすのではなく、AIがAIに指示を出し24時間全自動で働かせる。もはや「人間は1日8時間しか働けないし、判断も遅いので、人間が居ない方が作業が速くて効率的」という状況になっています。
この現象の最前線であるアメリカのIT業界では、プログラマーのリストラが始まっています。
分かりやすいきっかけは、2025年5月22日にAnthropicという会社が発表したClaude Codeという「自動でプログラムを作る」ソフトの登場。

このソフトは、新人プログラマーと同程度のクオリティーのプログラムを自動で作ってくれます。でも、新人レベルなのでミスもよくありますし、新人なので細かくきちんと指示を出す必要があります。
しかし、ここからが本番です。
Claude Codeを複数同時に使い、「上司役と部下役」を設定し、上司役が部下役に仕事を依頼する、出来上がったものを上司役がチェックしてOKだったら次の仕事を依頼する、というテクニックが登場するまで1ヶ月もかかりませんでした。このシステムは理論上、24時間全自動で動き続けます(現時点では半日ぐらいが限界のようです)。
これが月たった200ドルのソフトで実現できるようになったのです。3年前まで1億円かけても作れなかった全自動プログラミングソフトが、月たったの200ドルで使い放題なのです。上司役のAIにうまく仕事の依頼さえできてしまえば、部下役は10人でも20人でも同時に働いてくれます。定額制なので、何人働かせても月200ドルです。
破壊的テクノロジーとは、まさにこの事です。革命的に安いので今、モーレツな勢いで広まっています。
これは一般向けのソフトの話なので、巨大IT企業の内部では、もっと高性能な仕組みが、既にできあがっているでしょう。
さらに、あと1〜2年もすれば一般向けのソフトが「新人社員」レベルから「中堅社員」レベルになるのは確実です。
さて、ここでちょっと考えてみて下さい。
この状況を踏まえて、いま自社にAIツール(人間が指示しないと動かない)を導入して業務を効率化するのは、最善手なのでしょうか?
ひょっとすると、一足飛びに「全自動化」するチャレンジをした方が良いのではないでしょうか?
10年先の未来から振り返って、「あの時AIツールを導入したのは回り道だった」となる可能性は十分にあります。
もちろん、現時点ではこれは「仮説」です。プログラミング以外の世界で、ここまで全自動化が進められるようになるには、まだ少し時間がかかるでしょう。
しかし、それが「現実」になるのは確実です。来年か再来年か、遅くとも数年後には、ホワイトカラー(パソコンで出来る作業)の仕事の大半は全自動化されているでしょう。
あと10〜15年もすれば、自動車並の値段の人型ロボットが普及し、現実世界の作業も全自動化されていくでしょう。
そしてそれは、大きな豊かさをもたらしてくれるはずです。金銭的な豊かさなのか、時間的な豊かさなのかは、僕にはまだ分かりません。しかし「手作業」に固執しなければ、誰もがその恩恵を受けられると確信しています。
その為には、今の仕事のやり方を「根本的に」変える必要があります。今のやり方のままAIツールを導入して「効率化」するのでは、「全自動化」は出来ません。
AIツールを導入して仕事を効率化するメリットが1だとすると、「全自動化」のメリットは5〜100ぐらいはあるでしょう。
それでもあなたは「AIツール」の導入を推進しますか?
考えるきっかけとなった、うみゆきさんのポスト
もうちょっと先にいくとAgent to Agent(A2A)といって、全自動AI同士が勝手に仕事を発注しあって仕事完了という時代が来そうです。まぁ、AIは24時間働き続けるので、完了という概念がない可能性もありますが。